walkey SPECIAL REPORT

walkeyデバイスの故郷 青森・十和田の製造工場、潜入ルポ!walkeyデバイスの故郷

取材・文・編集/大田原 透 撮影/清水こなあ

walkeyデバイスの故郷 青森・十和田の製造工場、潜入ルポ!walkeyデバイスの故郷

森と、人と、技術を結ぶと、walkeyデバイスになる

三本木原を潤し続ける用水のほとり建つ、朝日インテック十和田事業所。

100年歩くからだのための歩行トレーニングサービス「walkey(ウォーキー)」。自宅でのトレーニングに欠かせない、白くて可愛らしいデザインのwalkeyデバイスは、実は、青森の十和田で作られている。今回は、ちょっと遠出をして、walkeyデバイスの故郷を訪ねるレポートをお届けしたい。

walkeyデバイスの故郷の青森県十和田市は、八甲田山の麓に広がる、三本木原と呼ばれる平野に位置する。三本木原の十和田は、十和田湖や奥入瀬渓谷に近く、豊かな自然に恵まれ、温泉も点在(!)、しかも気候も穏やか。市内には近代美術館もあり“アートの街”として都市計画が進められている。

しかし200年ほど前までの三本木原は、その名の通り“三本の木しか生えない”荒れ野原だったという。荒れ放題だった三本木原に、巨大な農業用水を引いて開拓をはじめたのは、森岡藩士の新渡戸傳。新渡戸傳は、かつての五千円札の肖像でもある新渡戸稲造の祖父に当たる人物である。

出来立てほやほや(⁉)、出荷を待つwalkeyデバイス。

新渡戸傳は、高い技術力を要した農業用水の難工事を、地域の人々と協力しあって粘り強く続ける。十和田の人々が築いた用水(稲生川)は、その後さらに拡張され、荒れ野だった三本木原は、現在の豊かな田園風景の十和田に生まれ変わる。現在の主力の農産物のひとつであるニンニクも、十和田の人々の苦労の賜物と言える。

三本木原は広い平野のため、農業だけでなく現在は工業団地としても栄えている。十和田の穏やかな人々と、用水の水は、多くの企業にとっても魅力的だったのだ。そしてwalkeyデバイスを生む事業所も、大正期に築かれた用水(一本木川)のほとりに建つ。

高い技術力を持ち、難工事を粘り強く続けた十和田の人々の子孫の手で、walkeyデバイスも生み出されているのである(walkeyスタッフは偶然だと笑うが、真っ白で丸いwalkeyデバイスは、ニンニクに似てなくもない⁉)。

walkeyを作り続ける男

今回お話を伺った、朝日インテック十和田事業所の中川原宏司さん(グループマネージャー)。

「walkeyデバイスは、walkeyが独自に開発したオリジナル製品です。身体のバランスを整えるwalkey独自のトレーニングを、安全かつ最適に行うための専用デバイスとして開発されました」

と語るのは、walkeyデバイスを作る朝日インテック十和田事業所の中川原宏司さん。朝日インテックは、日本を代表するワイヤーロープメーカーで、建材から自動車、医療用などさまざまな機器で使用されるワイヤーロープを製造している。心臓治療用のカテーテル、自動車のスライドドアなど、実は同社のワイヤーロープは私たちの暮らしに身近な存在なのだ。

「walkeyデバイスの心臓部は、ワイヤーロープです。持ち手を組み替えることで、様々な部位に一定の負荷を掛けられるように設計されています。最適な負荷をスムーズに、しかも左右均等に掛けるためにも、ワイヤーロープをはじめとした部品の組み立ては、とても重要な作業です」(中川原さん)

はじめに、ワイヤーロープあり

walkeyデバイス用のワイヤーロープは、自動車のスライドドアに使用される厳しい品質チェックをクリアした製品が使用されている。

「walkeyデバイスのワイヤーロープは、亜鉛アルミメッキされた極細のワイヤーを、それこそ糸を撚るように機械を使って作ります。単純な作業に思われるかもしれませんが、極細のワイヤーを密着させて真円に整え、均一の強度を持たせたワイヤーロープに加工するのは、長い経験と熟練の技が必要です」(中川原さん)

walkeyデバイスの製造にあたっての中川原さんたちの課題も、ワイヤーロープの強度にあったという。中川原さんは、朝日インテックのセブ工場(フィリピン)まで赴き、ワイヤーの選定に取り組んだという。

「十和田にもワイヤーロープを作る機械はあるのですが、品質が安定しているセブ工場で作られている自動車のスライドドアに使われる製品を採用することにしました。それまで考えていたワイヤーロープに比べ、強度は5倍になりました」(中川原さん)

精密機器メーカーのクオリティでの組立工程

毎日のトレーニングにも耐えられる丈夫なwalkeyデバイスは、正確な組立工程を経て製品になる。

walkeyデバイスが十和田で作られる理由は、デバイスの組み立てに精通した中川原さんをはじめとしたスタッフの存在に加え、何より十和田にワイヤーロープの製造設備があったことも大きいという。

「十和田は、デザイナーさんや開発の方たちからのリクエストに対して、できるだけ早く対応して、その答えを製品に反映させられる“小回り”が利きます。ワイヤーロープの製造にも精通する、熟練スタッフの工程設計の工夫やアイデアも活かせました。十和田の製造ラインの規模を大きくすれば、どこでも大量生産が可能です」(中川原さん)

より正確に、しかも効率良くwalkeyデバイスを組み立てるための治具(ジグ)と呼ばれる器具も、十和田は容易に整えられたという。まさに、日本のモノ作りの良い面をギュッと凝縮したところで、walkeyデバイスは作られているのだ。

テストは続くよ、どこまでも

walkeyデバイスは、左右ともに基準の数値のクリアが求められ、ひとつひとつ丹念に確認されている。

「walkeyデバイスは、ワイヤーロープを引いた時の荷重が一番重要です。その数値がきちんと出ているか、ひとつひとつ“全数チェック”します。左右でバランスが違ったりしては、トレーニング用のデバイスとして信用されませんから」(中川原さん)

通常、似たようなデバイスの製造では、部品の性能が安定してくると、全ての数値を確認する全数チェックではなく、抜き取りチェックが多いという。しかしワイヤーロープそのものから製造されるwalkeyデバイスは、ひとつの不良品も逃さない徹底した品質管理がなされている。

「東京からwalkeyのスタッフの方が見学に来られた時、全数チェックに驚かれていました。やっぱりお客さまに直接届ける製品なので、ご迷惑をおかけするワケにはいきませんから。きちんと測定して、ロットごとにそのデータも記録を取って品質を担保しています」(中川原さん)

日本一の“短命県”にも、walkeyを広めたい

walkeyデバイスの故郷、十和田事業所の皆さんも、会議室でwalkeyにトライ! 

日本一の“短命県”として知られる青森。男性は10回連続、女性も5回連続で平均寿命のワースト記録を更新しているという(2年に1回、厚生労働省が発表)。クルマ社会で歩く機会も少なく、食事の塩分も高く、料理の味付けも濃い目……。県も、テレビCМで“短命県返上”を呼び掛けるほどだという。

「冬が長いので、年の三分の一は、自宅に引きこもりがちになります。春が近づくと、“あ~運動不足だ”って実感します。私も海外に赴任していたり、東京にいた時は歩く機会が多かったので、もっとwalkeyを活用しないとなりません」(中川原さん)

気になる“短命県返上”テレビCMを見たいところだが、中川原さんが指摘するように、walkeyデバイスの故郷の北の国々の運動不足解消にも、もっとwalkeyのサービスが拡がって欲しいところである。

自宅で使う、家具としてのマシンに求められる耐久性

耐久試験は、毎日ガシガシとトレーニングしても耐えられるべく行われる!

「ワイヤーロープの耐久試験は、垂直、水平、45度などさまざまな方向へ引っ張った際の耐久性を調べます。1年間毎日トレーニングを続けた際、基準となる耐久性の値を示せるかをチェックします。ここでも課題になったのは、やっぱりワイヤーロープでした」(中川原さん)

計画当初のワイヤーロープから、自動車のスライドドアに使われる製品に変えることで、先述したように5倍の耐久性を持たせることに成功する。しかし、実は、話はこれに留まらず、ワイヤーロープを包むコーティングの樹脂材の仕様変更にまで及んだという。

「そうなんです。単にワイヤーロープを変えただけでなく、コーティングする樹脂材をさらに柔らかくし、かつ厚みも薄くなるように変えました。これによりワイヤーロープの滑りが円滑になって強度も増し、結果として5倍の強度になりました。walkeyデバイスは、ご自宅の家具としても置かれるので、デザイン的な色味にも、もちろんこだわっています(笑)」(中川原さん)

そして、お客さまの元へ

アクセサリー類の入れ漏れチェック、丁寧でキレイ(かつスピーディ)に梱包を終えれば、後は出荷を待つのみ。

と、いうことでwalkeyデバイスの製造の話も、いよいよ最終工程。出荷前の検査で、中川原さんたちが一番に気を遣ったのは、walkeyの豊富なアクセサリー類の入れ漏れと、お客さまへ直接届けられて梱包を解いた際の美観だという。

「員数(いんずう)管理というのですが、ハンドルが1セット2個入るのであれば、そうした基本の数が合っていて、最初の検品の際と、出荷時に数がキチンと合っているかの確認は、信用にかかわるので入念に行っています」

「数が合っているかだけでなく、キレイに入っているかも重要です。walkeyデバイスのお届け先は、工場などの事業所ではなく、お客さまのご自宅なので配送のタイミングも滞りなくするための綿密な出荷作業を組んでいます。何せ十和田は青森ですから、少ないとはいえ雪も降りますし(笑)」(中川原さん)

ということで、梱包も終えたwalkeyデバイスは、皆さまのご自宅へ旅立つだけ。そしてそして、すでにご自宅で愛用いただいている皆さまは……。Yes! トレーニングのスタートです‼