今回お届けするのは、歩行トレーニングサービス「walkey(ウォーキー)」添田俊介トレーナーによる「TOKYOエクストリームウォーク」挑戦レポート。「過酷すぎるので、100㎞ウォーキングは気軽にはお薦めできません。でも、普段walkeyで皆さんと一緒にやっているトレーニングやケアのおかげで完歩できました!」と、添田トレーナー。
このレポートを通じて皆さんにお伝えしたいのは、100㎞ウォークでも役だった、walkeyで添田トレーナーが“100年歩くからだ”のために行っているトレーニングメソッドやその知見。ということで、2023年秋に行われた、神奈川県海老名市から東京の豊洲まで、100㎞17時間の添田トレーナー旅の模様とともに紹介していこう。
「参加したのは、『東京エクストリームウォーク100』というイベントです。回によってコースが異なることがありますが、僕が参加したカテゴリーは、100㎞を26時間以内に歩きます。エクストリームとある通り、自分自身の体力と気力の限界に挑戦するイベントです!」
どーして100㎞も歩くのか?
添田トレーナーはサッカーの経験はあるものの、42.195㎞のマラソン大会への出場経験もなく、普段どんなに歩いても10㎞ほどだとか。では、なぜ添田トレーナーは100㎞を歩くことを決意したのだろう?
「walkeyでトレーナーをしていることが最大の理由です(笑)。自分の中で“歩行を極めたい”という気持ちが強くなっていた時に、たまたま目にした“100km歩く”という『東京エクストリームウォーク100』の文言に惹かれました」
添田トレーナーの100㎞ウォーク挑戦は、実は今回2回目。初めての完歩は、今年(2023年)の夏に達成している。冒頭の言葉でも“過酷すぎて、皆さんにお薦めできない”と語っている100㎞ウォーク。いったい、何が添田トレーナーを駆り立てているのだろう。
100㎞連続で歩くと、人間のからだ(やココロ)はどーなる?
「正直、本当にキツかったので、夏に100kmを歩き終わった後、二度とやらないとしばらく思っていました。でも少し経つと、途中で見た景色のキレイさや、もっとタイムを縮められるという気持ちが湧いてきました。何より、自分にとって、体力の限界を超えた100㎞という未知の距離を歩き通した達成感が、もう一度、僕の背中を押したのだと思います」
「100㎞歩く」と文字で書くのは簡単だが、朝スタートし、途中のチェックポイントで20分ほどの休憩を挟むものの、添田トレーナーの脚でさえ17時間。夜中まで100㎞を歩き続けると、人間のからだはどうなるのだろう?
「体力も奪われますが、筋肉や関節が言うことを聞かなくなります(笑)。そうならないよう、なるべく無駄がない、疲れない歩き方をするようになりますし、その時々のからだの状態や、一歩一歩にも意識が向くようになります」
それでも日が暮れて後半になると、からだ中が疲弊し、腿の内側や前側、お尻から腰、リュックを背負う肩回りなどが激痛に襲われて、脚が上がらなくなるという。そんな時に活用したのが、walkeyでもお馴染みのストレッチだ。
「チェックポイントでは入念に緊張した部位を伸ばしました。特にふくらはぎは、重点的に行いました。ふくらはぎの一部であるヒラメ筋は遅筋と呼ばれる性質の筋線維の割合が高く、疲れが溜まりやすい特性があるからです」
こまめなケアとストレッチ、すべてwalkeyでやっていること!
ふくらはぎ以上に入念なケアを添田トレーナーが心掛けたのは、足の親指や指の付け根、足首回り。100㎞ウォークのコース上に設けられた5カ所のチェックポイントでは、ストレッチに加えて、必ずいったんシューズを脱いで、足のケアを行ったという。
「足の指は、心臓や脳から一番遠い場所にあります。その分、疲労が蓄積することで、血流や神経伝達が滞るようになります。なので、チェックポイントでは必ずシューズを脱いで、walkeyでも使っているマッサージ用のミニボールでコロコロと足や指の緊張を解きました」
ミニボール以上に活用したのが、マッサージ用のスティック。チェックポイントではもちろん、信号待ちなど、過緊張となったからだ中のあらゆる個所にかけ続けたという。そこまで準備したからこそ、添田トレーナーは初回を上回る好タイムでの完歩となったと語る。
トレーニングの秘訣は、段階的に距離を伸ばすこと
100㎞を歩き続けるために、添田トレーナーは準備に1カ月半を費やした。少しずつ、段階的に歩く距離を伸ばし、フィジカル面でもメンタル面でも100㎞を歩き通せるように順化。最初は1駅分歩くことから始め、翌日は2㎞。次の週末に5㎞と10㎞。翌週末は、自宅から目印となるスカイツリーまでの20㎞といった具合だ。
「その翌週は、スカイツリーまでの往復の40㎞。さらに60㎞を歩き、仕上げは80㎞まで伸ばしました。80㎞歩いておくと、気持ち的にも“完歩できる”という自信になります。“残り40km”という経験も大事ですが、“残り20㎞、あとは5分の1しか残っていない”と思えるようになるトレーニングが大事だと思っていました(笑)」
少しずつ距離を伸ばし、からだと心を長く歩けるように段階的に準備してゆく。足指のケア、緊張しやすい部位のケアを小まめに行う。一度に100㎞歩くことはなくても、私たちの日々の暮らしでも、“100年歩くからだ”のために実践できることばかりだ。
必殺技は、タオルギャーザー!
「walkeyでやっている歩行力トレーニングは、100㎞ウォークでも役立ちました。具体的には、下半身を強化するスプリットスクワットやリバースランジ、ふくらはぎのカーフレイズなどのトレーニングです。ひとつと言われたら、足指でタオルをたぐり寄せるタオルギャザーが、地面を掴む感覚を養えます。僕も、信号で止まった際など、“エア”でタオルギャザーをやってました(笑)」
朝、海老名をスタートし、長時間に亘って疲労が重なると、当然、歩行のフォームも乱れがちになる。背中の荷物も重く、視線も落ち、膝下だけでペタペタ歩けば、特定の筋肉に負荷が集中するし、ちょっとした段差でのつまづきにも繋がる。そんな時に添田トレーナーが心掛けたのは、“脚だけで歩かないこと”だという。
「腕の振りや上半身の回旋も使い、脚だけで歩こうとしないことでした。股関節をしっかり動かし、目線を下げないようにすること、リラックスした呼吸しやすい姿勢を心掛けました。最後まで、からだを前に進ますことができました」
普段は絶対にしない、からだに悪いこと…
これに加えて添田トレーナーが行ったのは、栄養補給。チェックポイントでは、水やスポドリ、コーラ、コーヒーなどの飲料に加え、おにぎりやパン、スープやせんべい、チョコレートなどの補給食が提供される。さらに添田トレーナーは、コンビニでゼリー飲料やエナジードリンク(普段は絶対に口にしないとか……)などを購入して、こまめなエネルギー補給と眠気防止に努めた。
「チェックポイントではみかんも食べました。みかんは、疲労回復のためのビタミンCが豊富です。自分で持参したナッツ類も、マグネシウムなどのミネラルが豊富なので、脚がつらないように小まめに摂るようにしていました」
添田トレーナーの100㎞挑戦の最大の山場は、東京の品川の手前だったという。夜中とは言え、普段から慣れ親しんだ景色が徐々に増えてはきたが、リュックを背にした肩の激痛はさらに増し、全身の痛みと睡魔、そして夜の冷気が疲れたからだから体温を奪っていった。
そして、銀座の灯りが見えてきた
「心の声は、ひたすら“もう少しだ!”を連呼していましたが、一番キツかったです。信号で止まる度に、リュックを地面に下ろして、walkeyストレッチ。その繰り返しです。エナジードリンクとカフェインを大量摂取して誤魔化しましたが、からだには全く良かったですね(苦笑)」
品川から北上、銀座四丁目の交差点を右折すれば、ゴールの豊洲はもう目と鼻の先。タイムも前回よりも大幅に短縮できそうなので、悲鳴を上げていたからだにもチカラが戻ってくる。足取りは軽くはないが、過去の自分を超えられるという確かな成長を一歩一歩感じ取りながら、ひたすら前へ、そして前へ。
「やったー! 歩き切ったー! 天候にも恵まれ、歩いていて本当に気持ちよかったです。自分のからだにも感謝です。健康に当日を迎えて、怪我せず歩き切った自分のからだを褒めました。やっている最中はとにかく辛くて、何でこんなことやってるんだろう……って思っていたんですけどね」